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「ここは本当にあの地球か?」
「え?」
「鼻がもげそうだ」
ドアをくぐりながらSARUがそう呟く。
でもその言葉には私も頷いた。
この地球は、汚れてる。
だからこそルシファーは……。
「えと、社長の服はあるのですが他の方のはいかがしましょう?」
「あー、私が買ってくる!」
チナと言う女性の声に桃子が手を上げる。
「なら俺も」
「お前の格好がおかしいと気づけ」
そしてINUも手を上げそうになったのだけど、それは桃太郎兄に止められた。
確かに、この部屋に来るまでの間何人か人を見た。
みんな私たちとは違う格好。
桃子と同じような姿だった。
「ところで俺がいない間、会社はどうなってたんだ?」
桃太郎兄がそう聞くと、チナは「大変でした!」と琥珀色の液体が入ったカップを乱暴にテーブルに置いた。
「社長がいきなり失踪ですよ? そりゃニュースにもなりますって!」
「だろうな」
「でも副社長がいらしたおかげで何とか」
「副社長?」
「えぇ、社長は新たなクスリを探す旅に出た。すぐに戻るからその間は僕が代行でって。マスコミにもちゃんと対応してくださって」
「ちょい待て。副社長って――」
桃太郎兄との会話はちんぷんかんぷん。
だけど、
「ノズミ副社長ですよ」
「え!?」
その言葉だけは理解できた。
「ノズミ兄がいるの!?」
「ノズミってあのノズミか!?」
「そいつは今どこに!?」
私とSARUとINUの立て続けの質問にチナの目は白黒。
だけどそんなことに構ってなんていられない。
「ノズミ兄はっ」
瞬間、木製のドアが開いた。
「あれ? ラファエル?」
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