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所詮、人は人だ。
時空湖の住人は敵わない。
「KIBI錠を飲んだ人を食らうことで、堕天した時空湖の住人はかなりの毒になる」
ノズミ兄の冷たい言い方に桃子だ「ひっ」と声を上げた。
「食う、のか?」
桃子の隣でINUが確認するように質問する。それにノズミ兄は頷いた。
「人は神の魂の欠片で作られている。だから塵芥から作られた時空人は人を喰らおうとする。堕天してしまったONIならば余計でも神の欠片を欲しがるからね」
「そんなのっ! もっとほかに方法が」
「無い」
桃子の声にノズミ兄の冷たい声が重なった。
「だからこそKIBI錠をもっと広めて人に食わせないと。そうすることでONIに対抗する人間も出てくる。例えば君のようにね」
「え?」
驚く桃子にノズミ兄はにこりと笑った。
「KIBI錠をかなり服用してるね。そのおかげで君はいろんな耐性が出来てる。例えばどんな環境でもすんなりと順応できる。とかね」
ノズミ兄がそう言うとINUが「なるほど」と相槌を打った。
「確かに2000年のコールドスリープを経ても桃子はパニックなんて起こさなかった」
「うん、普通の人間なら精神が破綻してもおかしくない。桃太郎、君もね」
その声に桃太郎兄は難しい顔をして見せた。
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