現代

7/13
前へ
/39ページ
次へ
所詮、人は人だ。 時空湖の住人は敵わない。 「KIBI錠を飲んだ人を食らうことで、堕天した時空湖の住人はかなりの毒になる」 ノズミ兄の冷たい言い方に桃子だ「ひっ」と声を上げた。 「食う、のか?」 桃子の隣でINUが確認するように質問する。それにノズミ兄は頷いた。 「人は神の魂の欠片で作られている。だから塵芥から作られた時空人は人を喰らおうとする。堕天してしまったONIならば余計でも神の欠片を欲しがるからね」 「そんなのっ! もっとほかに方法が」 「無い」 桃子の声にノズミ兄の冷たい声が重なった。 「だからこそKIBI錠をもっと広めて人に食わせないと。そうすることでONIに対抗する人間も出てくる。例えば君のようにね」 「え?」 驚く桃子にノズミ兄はにこりと笑った。 「KIBI錠をかなり服用してるね。そのおかげで君はいろんな耐性が出来てる。例えばどんな環境でもすんなりと順応できる。とかね」 ノズミ兄がそう言うとINUが「なるほど」と相槌を打った。 「確かに2000年のコールドスリープを経ても桃子はパニックなんて起こさなかった」 「うん、普通の人間なら精神が破綻してもおかしくない。桃太郎、君もね」 その声に桃太郎兄は難しい顔をして見せた。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

114人が本棚に入れています
本棚に追加