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「気に入らん」
「何がだい?」
「ほかの人間を餌にするなんて、気に入らん」
桃太郎兄の声にSARUも「当たり前だ!」と席を立った。
「どんなやつだってぶん殴ってやる! 弱らせる必要なんてねぇ!」
SARUらしい意見に頬の筋肉が緩んでしまう。
「そうだね。そう思うなら君たちで倒してしまえばいい」
にこりと笑うノズミ兄にみんなの視線が集まった。
「そのための桃太郎プロジェクトなんだろう?」
「あ」
そういわれて、INUがはっとしたように顔を上げた。
「そうだ! そのために俺はっ」
「うん、古来よりONIは桃太郎に倒されると決まってるしね」
その声に桃太郎兄がにかっと笑った。
「でも倒すにしてもいつ来るのかとか、対策を立てるべきだろう?」
INUの言うことはもっともだ。
非力な人間が神の使いから堕天したとはいえ、その力を有すONIと対峙するのだから。
「アルマゲドン、この地球最後の日は、12月25日だよ」
「え? クリスマス!?」
そう、この世に神がメシアを遣わした記念すべき日に、私たちは決起したのだ。
「その日、この世界は時空湖と繋がり堕天したONIに支配される」
ノズミ兄の低い声に誰かののどがコクリと鳴った。
「そのONIは、何体なんだ……?」
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