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探るようなINUの声に私は目を伏せた。
あの日の光景は生まれ変わった今でも忘れない。
「僕が誘って、堕天したもの達全部だから、百万は越えてたかな?」
「ひゃ、百万!? それでONIの能力は!? それを分析して武器を手配しなくては」
INUの質問になんと答えればいいのだろう。
「……戦車もミサイルも役には立たない」
ノズミ兄の言うとおり、人間の武器は何の役にも立たない。
なぜなら――。
「存在する為のエネルギー量が違うんだ。そのため向こうは人間に触れることは出来ても、人間からONIに触れることは出来ない」
「ちょ……、意味わかんないんだけど?」
頭を抱えるSARUの声にノズミ兄はクスリと笑う。
「簡単に言えば、ライオンはネズミを捕まえることは出来てもネズミはライオンを捕まえることは出来ないってことだよ。因みに時空湖の住人の持つエネルギー量は地球に住む人間の1000倍程度かな?」
「そう、なの?」
私が聞くとノズミ兄は「多分ね」と笑った。
「だからKIBI錠でエネルギーを蓄積する必要がある。そしてそれは時空人の持つエネルギーとは正反対のエネルギーだ。だから与えるダメージは倍になると考えていい」
「その論理で行くと、こちらも倍のダメージを受けるということか?」
やはりINUの飲み込みは早い。
ノズミ兄も肯定するように微笑んだ。
「そして力を得ても使い方を習得しないと意味が無い。今は11月。そろそろ僕もみんなを迎えに行こうかと思っていたんだ。KIBI錠の準備も出来たからね」
ノズミ兄はそう言うと残ったコーヒーを飲み干した。
「時間がない。すぐにでも始めようか?」
その声にみんなが立ち上がった。
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