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ノズミ兄が目を伏せると景色は一瞬で変わり、小さな川のそばに私達は移動した。
「ずっと、こんな世界で君と暮らしたかった」
「……うん」
ここはノズミ兄と二人で暮らした世界によく似てる。
けれどここは今の地球上のどこかだ。
きっと時空石の力を使ったんだろう。
「僕は、あの時自分のしてることは正しいと思っていた。それは確かなんだ」
「うん……」
「けれどあの時君の涙を見て、僕の性質は反転した」
それが堕天するということ。
時空人は神の使いであるために常に正しくないといけない。
自分を正しいと思って行動しなくてはいけない。
けれど、それを否定したとき、
堕天する。
「七美が、ミカエルがよく言ってたよ。『神はもしかしたら完璧なのではないかもしれない。だからこそ、我々に完璧を求めているのだろう』って」
「……なるほど」
小川のせせらぎにルーの声が混じる。
「だから、神の欠片で作られている人間も完璧ではないのか」
「かもね」
実際のところそれが正しいのか間違ってるのかは分からない。
「君は知らないだろうけど、この時空石は別名『神の嘆き』と言われている」
「え?」
「ミカエルの言葉はあながち外れてないのかもしれないね」
「ルー? 良く意味が分からないんだけど?」
そう言ってノズミ兄を見上げるといつものようにニコリと笑って私の頭をそっと撫でてくれた。
「大丈夫、何があってもKIJIは僕が守ってあげるよ」
昔からのノズミ兄の言葉だ。
「うん……」
だから頷くとノズミ兄はもう一度優しく頭を撫
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