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その言葉に誰もが絶句した。
勿論、私も。
確かに時空人は時間を飛び回ることが出来る。
けれど歴史を変えるのはタブー。
だから見守ることだけが時空人の仕事だった。
「アルマゲドンを阻止することで人類はこの地球に存在し続けるのか、それともそこで未来が分かれてしまうのか」
命を懸けても歴史は変わらないかもしれない。
変わるとしてもどんな風に変わるのか分からない。
だけど、それでも――。
「やれることをやるさ」
にかっと笑う桃太郎兄の声に誰もが頷く。
その反応にノズミ兄もにこりと微笑んだ。
「それじゃ桃子、君は行かないとね」
「え?」
「このことを未来に伝えるんだ。そのために君は2000年の間眠るんだよ」
ノズミ兄の声に誰もがハッとした。
「わ、たし……」
「責任を感じる必要は無い。君が存在するだけで未来は救われる」
「でもっ、私もみんなとっ」
涙目の桃子の肩にINUが手をそっと置いた。
「頼む」
その一言に、桃子の目から涙が零れた。
瞬間、桃子の姿が半透明になってノズミの胸にある時空石が光ると、
「桃子……」
INUの声と涙だけが床に落ちた。
ミシッ
何かが軋む音が大気を引き裂いた。
月が、大きく揺れる。
「さあ、時空の歪が現れるよ。君達が次世代の『メシア』になるんだ」
【ONI編に続く】
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