過去

4/25
前へ
/39ページ
次へ
「あの山の向こう、さらに海の向こうにはONIがいるんだ」 「おに?」 「そう、とても怖い生き物だよ」 「オオカミよりも?」 「それよりもっと狡猾で鋭い牙をもっている」 いつも笑ってるノズミ兄の顔が真剣で、怖くなってきて身体がぶるりと震えた。 そんな私を見てノズミ兄はニコリと笑ってくれた。 「大丈夫、僕が守ってあげるからね」 そう言ってノズミ兄は私をそっと抱きしめてくれた。 「だけど、最近仲間を増やしてるみたいで僕だけじゃ限界がある。だから味方を呼ぼう」 「味方?」 不思議な言葉だった。 だってこの地球上には私とノズミ兄しかいないのに。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

114人が本棚に入れています
本棚に追加