おすすめクソビッチ

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翌日の話 枕元に置かれたうさぎのぬいぐるみが、こちらを見つめていた。 いつのまに寝ていたのだろう。 はっきりとしない頭をなんとか動かして、自分の身の回りを確認する。 外を眺めるとどうやら夕方で、昼から本を読んだまま寝てしまっていたらしい。 なんだか日曜日を無駄にしたような気がして、美沙は胸の中にわだかまりを覚えながらベッドから立ち上がる。 壁にもたれて眠っていたせいで、髪の毛が乱れている。 適当に手櫛で整える。 長く変な体勢で体のいろんなところが痛い。 美沙はぐいっと背伸びをして、下着に胸を収め直す。 あくびが漏れる。 すると、家のどこかから物音がした。 美沙は驚いて硬直する。 家の中に誰かいる。 「まさか……」 今日は日曜日。 思い当たる人がふたり。 両親のどちらかが家に帰って来てるのかもしれない。 眉間にしわを寄せた美沙は、恐る恐る部屋の外を覗く。 どうやら二階には来ていないようだ。 音は今から聞こえてくる。 自宅なのに足音を忍ばせながら美沙は居間へ。 こっそりとドアの向こう側を覗き込んで、安堵の声を漏らす。 テレビがつけっぱなしだ。 どうやら朝にテレビを点けたまま二階で寝入っていたらしい。 安心して居間へ入った美沙は、テレビの電源を切ってソファに腰を下ろした。 それでも、辺りを見ると、やはり。 休日にときどき帰ってくる親の気配。 ゴミ箱のゴミが増えていたり、冷蔵庫の中が減っていたり。 娘をひとり放っておいて家には帰って来ない。 普段何をしているのかもわからない。 父親は仕事だと思う。 母親はどこに行っているのか聞いたこともない。 美沙は昨日、図書館で借りてきた本を手に取った。 はさんだ栞が外れていて、チッと舌打ちをした。  
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