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翌日の話
美沙のローファーがやけにキラキラと光っていて、ガリ勉くんは目を細めた。
「なんですか、それ」
「デコったの。超かわいいでしょ!」
それをかわいいと思う美沙の感性が理解できなくて、ガリ勉くんは眉間を押さえた。
美沙はガリ勉くんに気付いてもらえたのが嬉しかったらしく、足をぱたぱたさせてニコニコしている。
スパンコールのように光を反射するビーズだろうか、糊付けされたデコレーションが彼女の足元を鮮やかに目立たせていた。
どう考えても校則違反だと思うのだけれど、ガリ勉くんはあえてそれを指摘するつもりもなく、黙って頬杖をついた。
「ローファーにそんなことしてどうするんですか。携帯と同じ感覚でなんでもデコれば可愛いと思ってるんですか。頭悪いんですか」
「頭が悪いことは認めるけど、そんなに責めなくても良くない!?」
美沙はローファーを脱いで、ガリ勉くんの目の前にぶら下げる。
こういう行為をしているのを見ると、やはり美沙も女子高生なんだと感じる。
そういえばクソビッチだった、こいつ。
と、溜息混じりの息を吐く。
料理や裁縫、女子らしいことは一通りできるだけあって、このようなデコレーションも統制が取れていて上手だと思う。
あるいは、このデコるという行為で手先の器用さが鍛えられたのだろうか。
「ガリ勉くんの靴もデコってあげようか?」
「死んでも嫌です」
「死ぬほど嫌なの?」
「いや、まぁ死ぬ方が嫌ですけど」
美沙がちょっと傷ついた表情になったので強く言えなくなってしまうガリ勉くん。
「でも、そもそもウサミミさん。どうして靴まで飾り付けようと思ったんですか。さすがに靴だとデコレーションしても、すぐに取れてしまいそうなんですが」
「んー、最近この辺の女の子の間で流行ってるんだよ」
「女子高生の流行というのは、僕には難しすぎて理解できません」
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