おすすめクソビッチ

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翌日の話 浴槽の蓋を開けると、入浴剤の香りがふわりと浴室をみたした。 髪の毛を後ろ手にまとめ上げて、そこに身体を沈める。 日曜日の夜は憂鬱になる、というけれど、美沙はそれに共感できない日々を送っていた。 もちろん、ガリ勉くんと学校で会えるからだ。 いや、我ながらガリ勉くんのこと好きすぎじゃね? やばくねやばくね? これってもう恋とかじゃないね、ラブだね。 深い深い愛情ってやつだね。 みたいな謎の思考回路をまとめて 「親友サイコ―」 という一言に綴じ込む。 ぱしゃぱしゃと脚を動かして、水面に波紋を作った。 小さな波が、ぷかぷかと浮かぶ胸元にあたって反射する。 まぁ、休日もガリ勉くんに会えないわけじゃないのだけど。 毎日顔を合わせるよりも、一日か二日会えない間があったりした方が楽しいというか。 会えない時間が想いを募らせる、的な。 というより、毎日会っていたらガリ勉くんの方が音をあげてしまう気がする。 あいつインドアだし。 人と話したりするの基本的に好きそうじゃないもの。 まぁ、私は例外だけどな!!! 顔まで湯に沈めて、口から空気を吐き出す。 泡になった吐息が水面で弾けた。 もしも、例外じゃなかったらどうしようか、なんて。 くだらない悩みの灯火が胸の奥にちらついたけれど、それを美沙は静かに吹き消す。 親友と言ってくれた彼を疑うような、そんな心配や不安なんて、持っているべきじゃない。 だって、きっと親友はそんなふうに悩まない。 相手を信じて疑わないってやつを親友っていうんだ。 美沙は立ち上がって、鏡に映った自分を見る。 「まぁ、私のような美少女を恋人にできず、親友にしかなれないガリ勉くんには同情を禁じ得ないわよね」 そんな強がりみたいな言葉に、攻撃的な笑みを添えて。 大きく膨らんだ胸元の下で腕を組む。 「ウサミミさんは、明日も元気なウサミミさんなの!」  
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