祝福してください

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翌日の話 ガリ勉くんはバイト先から帰って、部屋の明かりを点けた。 とりあえず年内最後のバイトが終わった。 日が沈むのが早くなったので、すでに辺りは真っ暗だ。 今日受け取った封筒の中身を確認する。 とりあえず今後の出費の予定には十分な収入だった。 奨学金に加えれば、年末年始はなんとか乗り切れそうだ。 立ち仕事でくたくたになった足をソファに投げ出して、一息つく。 携帯を取り出して確認すると、美沙からメールが届いていた。 『明日はお弁当作っていくので、朝は先に行っててください。』 「何を言ってるんですか」 そもそも朝に一緒に学校へ行く約束なんてしてなかったと思うのだけど。 ガリ勉くんはいっしょうけんめい記憶を辿ってみるが、そんな約束は思い出せない。 きっと美沙の勘違いだろう、と携帯を閉じようとして、手を止める。 しばらくの沈黙で考え込んだ後、文字盤に指を滑らせる。 『それはつまり、ウサミミさんが僕にお弁当を作るということを伝えたかったけれど、それだけを伝えるのでは照れ臭かったので、あるはずのない約束をでっちあげて照れ隠ししているのですか?』 と、図星をライフルで撃ち抜くような文章を入力した。 しかし、それを見てガリ勉くんはふたたび長考。 メガネを外した顔をしかめて、さきほどの文章を削除する。 『いえ、それではいつもの分かれ道で合流することにしましょう。お弁当たのしみです』 送信。 五分後、返信が到着。 『急にデレるな!』 ガリ勉くんはふんっと鼻を鳴らして携帯を閉じる。 明日はゆっくり家を出れば良さそうだし、少し夜更かしして読書でもしよう。  
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