おすすめクソビッチ

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翌日の話 小さな顔に不釣り合いな大きなマスク。 こんなにマスクが似合わない人もいないだろうな、とガリ勉くんは美沙を見て思った。 「風邪ですか」 「いや、昨日の夜に餃子たべちゃったからね。口臭とか気になるし」 「自分で作ったんですか?」 「うん。すこしにんにく入れすぎちゃった」 たしかに、餃子はニラとかにんにくとか、ニオイの気になる物がたくさん入っている。 年頃の女の子が匂いを気にするのもわかる。 「僕は人から食べ物の匂いがしても気にしませんけどね」 「いや、にんにくとか別じゃない?」 目だけしか見えない顔で、困ったように笑う。 マスクで目しか見えないので強調されて、やっぱり美沙のアイメイクの濃さが目立つ。 「でもウサミミさんはいつも食べ物の匂いさせてますし」 「え、嘘!?」 「けっこうその日の昼食の匂いがしますよ。特に揚げ物の日とか、朝からすぐに『あ、今日は揚げ物入ってるんだな』ってわかります」 「まじか……」 それを聞いて、何を落ち込んでいるのか肩を落とす美沙。 女子としては気にするポイントなのだろうか。 はぁと美沙は息を吐いて、机に頬杖をつく。 「そんな美味しそうな匂いをさせながらいままで男子を誘惑してたのね」 あ、たしかにそれはちょっと恥ずかしいやつだ。 ガリ勉くんは可笑しくて笑いそうになったが、努めて表情を固めた。 ここで笑ったらたぶん美沙は怒るだろうし。 長さが強調されたまつ毛をぱたぱたとさせながら、美沙はガリ勉くんの方に目をやる。 「今日は匂う?」 「いえ、今日は特に。マスクのおかげですかね」 今日は休日だし弁当を作ったりもしていないのだろう。 本人が気になると言う口からの匂いも、マスクのおかげか匂ってこない。 「マスク様様だよねー。すっぴんでもばれないし、顔がそんなに可愛くなくてもマスクしてるとちょっとかわいく見えるもんね」 「どうしたんですか、急に」 「いや、ネットのアイコンでマスク付けた自撮りとか使ってる人いるじゃない。あれ、あんまり良い顔してないよ、きっと」 「あぁ、ネットで知り合った相手と実際に会ったらがっかりした経験とかあるんですね。さすがクソビッチです」  
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