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「クリスマスに恋人でも何でもない、ただの親友と一緒に自宅でご飯食べるなんてねー」
「いいじゃないですか。親友とディナー、素晴らしいです。そしてその相手が僕だという点が本当に素晴らしいです」
「自信満々だね」
本当に楽しそうだった。
ガリ勉くんはそんな彼女の姿を見て、静かに尋ねる。
「ウサミミさん、ご両親は外出中ですか?」
美沙は笑顔を強張らせて、手に持っていた鶏肉をお皿に置いた。
「うん。そうだよ。こうして家にいないわけだし」
「それは、お二人でデートとか、そういうやつですか?」
「それ、いま聞くかなぁ」
「はい。聞きますよ」
ガリ勉くんは静かにうなずいた。
美沙はそんな彼の顔を見て、諦めたように肩をすくめる。
まだケーキも残ってるのになぁ、と美沙は少しさみしくなる。
これからの料理が味気なくなりそうで。
「ガリ勉くんってデリカシーないよね」
「そんなもの僕が持ってると思いましたか」
だよねぇ~。
「教えてくださいよ。僕は恋人でもないただの親友ですから、何を聞いたってあなたを嫌いになったり変な気を遣ったりしませんし。ていうか、ずるいんですよ。僕の家庭事情だけ知ってるくせに、ウサミミさんだけ隠し立てするのは」
「フェアじゃないね」
「わかってるなら話してくださいよ」
深呼吸。わかっていても、怖いものは怖い。
できるだけ平然を装って、それでも微かに声は震えた。
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