いつまでもこのままで

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大晦日の話 もう夜も遅い時間だというのに、街は騒がしい様子だった。 けっきょく年越しも美沙の家で過ごすことになったガリ勉くんは、ここ数日の間に出したらしいコタツに半身をうずめていた。 「え、年末に紅白歌合戦見るとか渋いね、ガリ勉くん」 「他に何を見るんですか。ガキ使とかですか?」 「ダイナマイト」 「渋いですねぇ……」 おせちの準備が終わった美沙は、すでに年越しそばの準備にとりかかっている。 もちろん麺は店で買ってきたものであり、彼女が打ったものではない。 「そういえば、北海道ではおせちを年末から食べるらしいですよ」 「え、なにそれ。じゃあ年越しそばは食べないの?」 「それも食べるんじゃないですかね」 「北海道の人、貪欲だなぁ」 紅白歌合戦では名前も知らないような演歌歌手が、聞いたこともない演歌を歌っている。 美沙は作業に一段落つけて、ガリ勉くんと一緒にコタツへ入ってくる。 「最近だと、演歌歌手の後ろで人気アイドルが踊ったりしてますよね」 「まぁ、若い人は演歌とか聞かない子多いからね。少しでもそうやって興味を引きたいんじゃないの」 「その程度で若者を釣れると思うなよ、って感じですね」 「ガリ勉くんが若者代表として発言するの、違和感がすごいんだけど」 ガリ勉くんも最近の若者として人気のアイドルも曲も知らない。 だからこそ年末は今年の人気歌手などのおさらいとして、音楽番組をよく見ているのだった。 「レコード大賞とか勉強になりますよ」 「勉強としてレコード大賞を見てる人って少ないと思うよ」  
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