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翌日の話
「ウサミミさんはゲームとか、やりますか?」
「え、うん。人並みにね」
最近ではスマホゲームも流行っているし、暇な時間があったりすると遊んだりすることもある。
「僕、ゲームセンターとか行ったことなくて。一度行ってみたいんですけど、付き合ってもらえますか?」
「ははーん、なんだよ、ガリ勉くん。デートの誘いだったらそう言ってくれたらいいのに」
「何を勘違いしてやがるんですか。普通にお願いしてるんです」
美沙は、素直じゃないなぁ♪なんて思いながら、快諾する。
一方でガリ勉くんは美沙の得意げな表情に、なんとなくイラッとくる。
何だか知らないけど負けた気分。
「それじゃ、いつにする? 今日は私、買い物に行きたいからダメなんだよね」
「今度の週末でいいのではないでしょうか」
ガリ勉くんの提案に、美沙はちょっと渋い顔をする。
「休日のゲーセンって人は多いし、変な人も多いし、あまり行きたくないのよね」
「というと、どんな人たちが多いのでしょう?」
「私と愉快な仲間たちみたいな」
「あぁ、なるほど。なんとなく。マジでなんとなくですけど、なんとなくわかりました」
ガリ勉くんの反応に美沙はえへへっと苦笑する。
「逆に、平日の昼間のゲームセンターなんかはお爺さんとかお婆さんが多かったりするのよ」
「そうなんですか。意外ですね」
「で、めっちゃ強い」
強いんですか、と今度はガリ勉くんが笑う。
メダルゲームのジャックポッド獲得が生き甲斐なんじゃないか、と思うほど山盛りのメダルを抱えた老人をよく目撃するのだった。
「それにしても、なんで急にゲームセンターなんかに興味持ったの?」
「読んでる小説の登場人物が、ゲームセンターに入り浸っているんですよ。それで、僕は言ったことがないのでうまくイメージできなくて」
ガリ勉くんの言葉に、美沙も大きくうなずく。
たしかに、小説の舞台となった土地に縁が無かったり、出てくる言葉を知らなかったりすると、読んでいてイメージしにくいものだ。
そんなことを思うくらいには、美沙も読書をするようになった。
「でもね、ガリ勉くん。やっぱり『私と愉快な仲間たち』でイメージ伝わっちゃうの少し傷つくわ」
「自分で言ったんじゃないですか! ていうか、今までの自分の行動の結果なんですから甘んじて受け入れてください」
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