第1章

2/3
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
 趣味で掌編小説を書くような真似事を最近している。 特に作家を目指しているとか、大それた夢はないが、 子供の頃から作文が下手で、少し上手になれたらな。  ずっと無口な方だったから。聞き上手でもないけど。  某大型掲示板なんかで、ネタとしてコピペ話を読む。 短いながら面白くて哀しくて、そして怖ろしい。 誰が思いつくのか、小説にするとか何かの素材だとか、 勿体無いなぁって感心してしまう。塩と水を飲む。  自分がこんなお話を考えられるとは思わないのだが、 暇を持て余すなら、趣味の一つ位はあってもと思う。 書き始めてみようと思ってた、で、ぶらさがってみた。  なにせ初めて書く。何を書こうかと思う。恋愛小説。 まるで似合わない。パンを咥えた女生徒と遅刻間際に、 街角でぶつかる映像しか浮かばない。駄目だこりゃ。  どうしよう。  そもそも普段から殆ど小説を読まない。漫画すらだ。 だから書き方も何も判らない。SFはどうだろうか。 フィクションとはいえ、考証が全く解らない。  歴史も。自分の歴史も憶えてない。  ミステリーなんか考えられる頭脳があったら実際に いやいやいや。コメディも官能小説も浮かばない。  ファンタジーならどうだろう?北欧神話とか難しい 世界観は無理だが、勝手に自分で作った世界なら。 ……尚更、無理だろう。世界創造から作り上げるとか 運動不足に、いきなりエベレスト踏破しろ的な話だ。 ぐちゃぐちゃの、エンタメ性がないサーカスだろう。  ぐちゃぐちゃの……そこでピンときた。ホラーだ。  幸いにも経験談は無いが、これには興味があるぞ。 何かイタズラっぽく、恐くなくてもクスっとできれば。 よくよく見れば、ネットのコピペもホラー作品が多い。  ということは……ネタも出尽くしているという事か。 それから暫くは、帰宅しては深夜遅くまでネットの、 投稿動画などで心霊系や都市伝説系を呑みながら見る。  多くのコピペ関連などを読み漁ってみる。恐ければ 特に心霊に拘らず、何でも観て読んで。そんな日々。  こんな事になるなんてなぁ。  書いたら書いたで、友人にちょっと読んでほしいと、 そういう気持ちになるかもしれない。けれども友人に 「これ、あのコピペじゃね?」とか言われたくない。  思いついたネタは書き留めておく。通勤中や昼休み。 帰宅して、動画サイトなどで被ってないかチェック。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!