第1章 練習台の男

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どうしていいか分からない。 帰りの車の中。 助手席で僕がとった行動は ――寝たふりだった。 いやそれは何も 自分のためばかりでなく。 動揺からン千万の車をぶつけかねない 悠月さんのためでもあった。 薄目を開ければ (わっ……!) いまだかつて見たこともない すごい早さの貧乏揺すり。 そのまま アクセルを踏み込まないことを祈るばかりだ。
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