第9話 バッカスの世話係

第1章 練習台の男

無事――車は寮について。

「起きろ。着いたぞ」

いまだかつてない

ぎこちない声に起こされる。

いや

本当のところ一睡もしてないけどね。

――それはそれ。

「わ、ほんとだ！もう着いてる！」

下手な芝居を打って

僕が助手席から転がり出るや。

「俺、車返して来るから先寝てろ」

「は、はい……」

「いいか？先、寝てろよ！」