慌ただしい日常

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窓を開けてズボンから煙草を取り出し口にくわえる 妙に艶っぽくて様になってて、少し羨ましい 「反抗期もなく家族仲良く頑張ってて、特に直。いつだって家族の為に優しくて。俺お前のそう言うとこ見て先生になりたいって思った」 「…」 「教師になって分かったよ。お前等みたいに育つ事は難しいんだ」 「…片親が?って事?」 「絶対じゃないし片親が悪い理由なんてないよ。個人によるけど、まぁ統計的にはそうかもな。他にも普通に色々ぶつかる壁のそう言うの、支えてやりたいって思ったのが教師目指した最初のきっかけかな」 「…和泉はいい先生だよ」 「そうかー?お前に言われるのが一番嬉しいな」 煙草をプラプラさせて、和泉は笑う 俺がきっかけ、かぁ 嫌ったり苦手だったりって、もしかして本当に俺だけだったみたい 「…俺さぁ、和泉苦手だった」 「え、いつの話?」 「…ほんのさっきまで」 「あっはは!まじかよ」 「気付いてなかったの?」 「いやー、昔っから俺にはぶすくれてたから。あはは。そうか嫌いだったんだな。地味に傷付く」 「や、でも今はそうでもないよ」 「そうでもないって微妙に傷付けてくんなよ!」 くくく、っと眉を下げて和泉は笑う 「別に傷付いてないっぽいけど…」 「今更、お前に嫌われてようと関係は変わらないよ。ずっと近所でお前見て来たのによ」 はー、笑えると和泉は息を深く吐いて目尻を指で撫でた
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