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うちの向かいの和泉の家に着き、駐車場に停め、エンジンを付けたまま和泉は背もたれに深く背中を沈める
柔らかいレザー素材がギシリと音を立てた
「直はさー、今まで結構忙しくて恋愛までする余裕がなかったんだよ」
「えー?」
「イーサンも圭太も自由だもんな。…それが直にとって苦痛じゃなかったってだけで、忙しいと思う。だから今から、いくらでも」
「うーん…でも好きな奴が出来るなんて想像も出来ない」
和泉が俺の方に体を傾けてると距離が近い。おお、近くで見たら肌の綺麗さが際立つな…
急に詰められたら距離に少し緊張。慣れない他人の近さ
前髪をスルっと上げられ至近距離で笑われた
「こんだけ男前に育ったんだ。恋愛くらいしろ」
グシャグシャ髪を掻き回されて、最後に頭を撫でられた
「…和泉は恋愛してんの?」
「俺?今はしてないなぁ。出会いもないし」
「昔は…?」
「そりゃ健康男子だからな。あるよそれなりに、色々」
「色々?」
エンジンを切って、車内は静かになる
「お前に好きな奴が出来たって報告があれば、教えてやる」
「……いつになるやら」
俺の知らない和泉
特に恋愛面 の誰も知らない和泉
それが何でか、一番気になる
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