慌ただしい日常

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校門に立つさとし君と生徒会役員の女子が見えて来た 「さとしー!!!あと何秒!!」 「二十二秒」 普通の声音で教えてくれたさとし君の声は、俺達に辛うじて聞こえた 今日も抜かりなく厳しいっす、生徒会長… 「あー!!待って待って!」 「さとし君後生だからー!!」 ガラガラガラ、と鉄柵が閉められ始め、他のギリギリの生徒も滑り込みよろしく入り込んで行く 「ダメだ、飛ぼう」 「うん」 ダン、ダン、ダンッ ガシャン! 三段跳びの要領で、走った勢いのまま高さ一メートルくらいの閉められたばかりの鉄柵の上に飛び乗る 「お願い見逃して」 鉄柵に乗ったまま、さとし君に圭太と二人で手を合わせる 「…頭が高い」 「あ、ああ、そうだな、悪い」 本当ですね、さとし君… 俺達は乗ったままの鉄柵から慌てて降りる 「行け。次はない」 「ありがとー!!」 さとし君のお情けによって閉められた門は通過出来た 遅刻したら正当な理由がない限り、毎日反省文と正しい制服の着用を一週間義務付けられる 遅刻による正しい制服の着用に関しては、守られないかと思いきや、破った生徒には更に酷い 制裁が加えられる 俺はまだ知らないけど、どんなに酷い生徒も模範的に一週間を過ごす 皆黙っていて、本当のところは分からないけど、遅刻しないと知れないなら、知りたくはない…
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