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*『続・サクラの季節』より*
暗闇に手を伸ばす。
この手は冷たいシーツを滑り、
あぁ、今日は一緒に居ないのだと、
寝ぼけた頭の片隅で、思い出す。
手を伸ばした反対側のもう少し向こう。
サイドテーブルに乗せたケータイで見た時刻は――
・・・23時・・・13分・・・?
あぁ、今日はなんだか凄く眠たくて。
バイトもなく暇な時間をもて余した私は、
ベッドに横になり小説を読みながら寝てしまっていたようだ。
・・・っ、
不意に。
胸の奥が寂しさであふれ。
想うのは、彼のぬくもり。
どうして今日に限ってこんなに寂しいんだろう。
布団の中丸まってもそれは埋まらず。
自分の情緒不安定な心に・・・
あ、月モノが近いからかな、
原因がわかったのに、ますます広がる寂しさに。
声だけでも、聞けないかな・・・
ついに手にしたケータイの愛しい名前をながめ。
『・・・もしもし、とも?』
「っ、・・・そう」
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