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ある男は、国軍と紛争を起こしている過激組織に所属する暗殺者だった。
上の人間に命令されるがまま、国軍の上層部や、過激組織に敵対している他国の要人を単純作業のように、殺して行った。
男に感情というものはない。あったとしても、それは彼にとっては、自分の証明である印しでしかない。
どんなに許しを乞いても、
どんなに抵抗しても、
男はその手で葬ってきた。
感情が無いからこそ、敵である国軍や、所属している過激組織でさえも、恐れられている。でも男はどうでもよかった。
生きようが死にようが同じこと、一日一日生きて、そして自分に課せられたことを遂行するだけだ。
ある日、男はいつも通り命令を受ける。
敵対関係にある国軍が雇った用心棒の抹殺というものだ。
名前は聞く必要が無いという事で伏せられたが、写真で見る限り、女性のようだ、肩書は『血塗れの戦場(レッドフィールド)』
何でも幾度となく紛争地域を闊歩し、自身の気が済むまで標的を殲滅することを目標とする。第二次世界大戦より続いていた紛争を、彼女が水を差すように介入したことにより、両者勝利とも敗北とも取れない決着になったという武勇伝があるほどだ。
これらの情報は、男にとってはあまり耳に入る情報ではなかった、要は彼に恐れが無いのだ。
どんなに両者をかき乱した人物か知らないが、呆気なく殺してしまえば元も子もない。
男は命令に従い。暗殺に向かった。
しかし暗殺を開始して八時間と四十六分、
男は呆気なく、暗殺に失敗することとなった。
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