Happy Birthday

2/7
23人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
「……ほら、力抜いて……。ちゃんと僕のこと見て、絢(あや)……」 「だって……こんなの、初めて……。恥ずかしい……」 「ふふ、年上のくせに。そういうとこ、すごく可愛いよ絢。……いくよ」 「ああっ……! ちょ、待ってゆづ……あ、あ、ああああういぃーー! 無理無理無理無理無理無理無駄無理無理無理いいぃぃーー!!」  すってん。 「--見て見て、おとうさーん。あの女の人、椅子に掴まってるのに転んでるー」 「しっ! 見ちゃだめだぞサナ。さーあ、あっちであったかいたこ焼きでも食べようなー」  お尻が痛い。  膝も痛い。  周囲の視線もものすごく痛い。  でも、そんなの全く平気♪ 「絢、大丈夫? ごめん、急に僕が椅子から手を離したから……」  スケートシューズのエッジを効かせ、私の前でピタリと止まったゆづるが心配そうに覗きこんでくる。 「ううん、こんなの何ともないから! 大丈夫よ私!」 「頑張り屋さんだね。でもやっぱり僕が手を引くよ。椅子だと咄嗟の時に助けられないから。……おいで」
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!