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私の小さな胸が、ドキンと少女のような反応を示す。
「あ……うん、私よかったらご飯作るよ……」
「本当に?! それ、すごく嬉しい。じゃあ行こう、すぐ行こう、さっさと行こう!」
やけに張り切っているゆづるは、やっぱり若いのね♪
などと思いながらも、私の期待も膨らんでいく。
ああ、若くて将来のある彼を惑わせる、私ってやっぱり罪な女。
どんな風にスケート場を出て、どんな道を通って彼のマンションまでたどり着いたのか、ふわふわした心は全く記憶に残してくれない。
気が付くと私は、彼の北海道遠征の時だけ利用する小さなマンションの一室にいた。
「ゆづ、何が食べたい? 冷蔵庫、あんまり食材ないけど、チャーハンとかパスタ、ラーメンなんかも作れそう……だ、よ……」
無言でただ私を見つめているゆづるの瞳に、胸がトクトク早まって行く。
「あ……でも白いご飯炊かなきゃ……」
「チャーハンやパスタやラーメンに白米はいらないだろ?」
ゆづるがふと微笑んで私のおでこをつつく。
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