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「え、あ……そ、そうだったね。私なんだかおかしい……」
「そんなことないよ、絢はおかしくなんかない。おかしいのは僕の方だ」
見上げた瞳があまりにも揺れていて、その綺麗で寂しげな色から目が離せなくなる。
「君みたいな美人でスタイル抜群で、おまけにもう結婚しているような人を……図々しく好きになった僕がおかしいんだ」
「やめて……そんな事言わないで。今の私は、ゆづだけのものなんだから……!」
「絢……!」
細く見えるのに、ゆづるの腕や胸はとても逞しくて。
抱きしめられた息苦しさが、私を甘くてイケナイ世界へと誘っていく。
「何が食べたいなんて聞く絢が悪いんだぞ。キミが食べたいに決まってるだろ……」
「ダメだよ、ゆづ……私……」
「どうして? 今日は絢の誕生日だよ。僕にとっても特別な日だから……いいよね」
ウィークリーマンション備え付けのベッドに運ばれ、スプリングが固く軋む。
「愛してるよ、絢……世界の誰も、未来も、スケートさえもキミとこうして居られるならもうどうだっていい……」
「いけないわ、ゆづ。あなたには大事なものが……世界中のファンが……」
「そのおしゃべりな唇、塞いでもいい……?」
重く圧し掛かるゆづるの体がひどく熱い。
熱に浮かされたような瞳にも抗えず、私はそっと目を閉じた。
「ゆづ…………」
「絢…………あや、あ、や……………あやややややままや……」
(あややや? ままや?)
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