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「――まーま! お、な、か、すいたーーー!!」
見知った天井の風景に、ヒョイと覗き込んでくるこれまた見知ったチビの顔。
「いつまでお昼寝? もうごはんつくる時間だよー!」
私の腹の上にまたがって元気に跳ねる次男坊。
「あたし今日はチャーハンが食べたいよ、お母さん」
さらにチビの横に現れた長女の顔。さらに無言で私を見下ろす長男。
「……ゆづは……?」
覚めたくないからか、未練なのか、彼に奪われるはずだった私の唇がたわごとをほざく。
「あ、それなら今テレビやってるよ。お母さん、録画してないの?」
寝ぼけてもつれる足で、私は居間のテレビに駆け寄った。
四角い画面の中で、たった今まで一緒にいたはずのゆづが、見事なトゥループを決めている。
「ママ、ごはんはーー?」
「わーってるよ……でも今は……今だけちょっとほっといて……」
つぶやく声に、涙が滲む平和な農嫁の私。
誕生日だもの。
夢を見せてよ。
ねえゆづ……。
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