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「どうだい? ジョージ」
自分たちの部屋に戻ったふたりは、すぐにパソコンに飛びついた。須佐之男(すさのお)で検索をかけると、100万を超えるサイトがヒットする。さすがに建国の英雄だ。だが、つぎつぎと画面を切り替えても、軍と関係するものはなかった。ジョージが神速でキーボードを叩(たた)く。
「じゃあ、これで……」
検索ワードは、須佐乃男計画 アンド 進駐軍である。ウインドウをクリックして検索を実行する。今度は1件もヒットしなかった。
「どういうことだ!」
100万件のつぎに0。タツオがつぶやくと、ジョージが納得したようにいった。
「進駐軍の上層部が極秘で進めている軍事計画なら、外には漏(も)れていないのかもしれない。今、日乃元(ひのもと)は戦時体制にあるから、須佐乃男計画自体が検索禁止ワードに指定されている可能性もある。軍はいちいちこのワードをバンしたなんて発表はしてくれないからね」
ようやく巨大な陰謀の尻尾(しっぽ)がつかめそうなのに、ヒントをひとつ与えられただけで手を出すこともできない。タツオは胸がむかむかした。もう時間がないのに、自分はなにをしているのだろうか。
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