第1章

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瞳は毎週のように合コンに出かけた。 誘いがあれば、男性社員と食事にも出かける。 手は出させないけど、キスまでならいいわ。 もちろんイイ男に限るけど。 愛嬌もよく笑顔を絶やさない、美人で受け答えも良いなんてそろえば、必然的にイイ男は寄ってきた。 選り取り見取りという地位を確立した、入社2年目の1月。 ある噂が飛び込んできた。 「瞳、知ってる!?大ニュースよ!!」 いつものように早く出社した瞳は、同じように来ていた同僚の里香が目をランランにして話しかけるのを、ちらりと見た。 「何の話?」 本当はすぐに飛びつきたい衝動を押さえて、さも冷静に返事をする。 「戻ってくるんですって!」 「・・・誰が?」 冷静に、冷静に。 鏡を覗き込みメイクのチェックをしてるそぶり。 「跡取りよ、あ・と・と・り!」 「・・・跡取りって、確か修行に出てるって噂の?」 跡取りの話は、入社してすぐ耳にしていた。 噂だと、なかなかの男前らしい。 当時、一度はその顔を見てみたいもんだと思った。 その人が、戻ってくる。 これはもう、食いつかずにはいられない。
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