探偵

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 その背に向かい、今なら、ぶっすりやれそうだなと思いながら訊いた。 「じゃあ、なんで、なみいる後見人候補を押しのけて、ご自身で上に立たれたんですか?」   衛はすっくと立ち上がり、こちらを見据えて言った。 「一族の中で、一番の権力者になるためだ」  なんか矛盾しているような、と思ったが、その真摯な瞳に茶化す気分にはなれなかった。  衛はほんぽんとこちらの頭を叩き、上の方から見下ろして、何故かにやりと嗤う。 「さ、行くか」 と背を向けた。  なんなんだろう。  この勝ち誇った顔、と思いながら言った。 「ちょっと待ってくださいよ。  一応、支度ってものがあるんですよ。  お湯もかけっぱなしだし。  って、ちょっと……  人の話を聞け、こらーっ!」
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