悪霊の棲む屋敷

11/101
前へ
/604ページ
次へ
 衛と結婚することがあづさが狙われた原因だったのなら、そのとき、いや、それまでに何事か起こるかもしれない。 「あづさの着る予定だったドレスはもうないから、お前、新しいのを作ってこい」 「そうですか。  偽の結婚式に用意するのは、なんかもったいないような。  まあ、ドレス残ってても着れないですけどね」 「なんでだ?」  いや、なんでだって。 「だって、あづささんが好きな人との式に着るつもりだったドレスでしょう?  袖を通すのは抵抗ありますよ」  何故か感情が籠ってしまったが、衛は鼻で嗤う。  その顔を見ながら、 「あの~、ほんとにあづささんのこと、好きだったんですよね?」 と訊いてしまっていた。
/604ページ

最初のコメントを投稿しよう!

906人が本棚に入れています
本棚に追加