悪霊の棲む屋敷

12/101
前へ
/604ページ
次へ
「好きとか嫌いとか、そんなことは知らないが。  あづさのために犯人を見つけたいのは本当だ。  申し訳ないからな」  申し訳ない? 「ドレスは急いで作れ。  金は幾らかかっても構わんが、時間があまりないことだけは忘れるな」  そう言い、衛は出て行ってしまった。  申し訳ないってなんだろう。  っていうか、あの人、ほんとにあづささんのことを好きだったのかな。  まあ、あまり感情を表に出さない人だから、それでそう感じるだけなのかもしれないけど。  そんなことを思いながら、あの伏せられた写真立てを起こした。  なんだかこのままでは、可哀想な気がしたからだ。 
/604ページ

最初のコメントを投稿しよう!

906人が本棚に入れています
本棚に追加