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何があったか知らないが、衛は親を疎んでいたようだ。
だが、腹を痛めて産んだ子に蔑(ないがし)ろにされては、親として辛いだろうと思ったのだ。
写真の中の女性は、本当に衛に似ていた。
この美貌を受け継いで得したこともあるだろうに、あんなに邪険にしなくても。
写真立ての中の彼女は微笑んでいたが、ずっと見つめているうちに、それが悪鬼のような表情に変わって見えた。
うわっ、と手を離しそうになり、なんとか堪える。
「おい」
という声がして、振り向くと、よろけた自分を要が支えていた。
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