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* 学校へ向かう並木道の入り口、俺たちはある人を待っていた。 少し向こうの角から曲がってきたのは、小さくて華奢な彼女。 「あ、来た来たー」 「おっはー!」 俺らが手を振ると、ちょっと驚いたように目を大きくしてからにっこり笑った、うちの姫。 クラスのヤツらは皆『姫』って呼んでたけど、俺たちはなんかしっくりこなくてさ。 あえて名前を呼ばなかった。 「おはよう、佐藤くん」 「おう、おはよう」 「おはよ、佐藤くん」 「はは、おはよう」 しっかり目を見て、彼女は俺たちに別々に挨拶をしてきた。 今までのヤツらって、大抵2人まとめて『双子おはよう』とかそんなんばっかだからさ。 同じ名字のまして双子の俺たちに、わざわざ別々に挨拶するなんてちょっと驚いた。 俺ら二人顔を見合わせて、ニッと笑う。 なんか、すげーこの人。 桜花の姫になるって、こういうことなのな? 「しかし、どっちも佐藤くんじゃ、2人とも振り返っちゃうわよね」 僅かに首を傾げながら俺たちを見上げる彼女のこれは……独り言、だな。 昨日一日で、この人の特徴は大体わかった。 金髪のキイがこれにハマって、つぶやき!って叫びながら悶絶してたもんな。 確かに、可愛くて、面白い。 こういうの、俺たちも大好き。 「俺ら双子だし、空と陸でいいよ」 「そそ。俺らもその方が呼ばれなれてるしな」 言ってやれば、目の前の小さいのは、おお!っと人差し指を立てて一つ頷いた。 面白い。 「ありがとう、そうやって呼ぶことにするね」 にっこり。 前を歩きだした彼女は途中合流しだしたクラスメート一人一人をちゃんと見て挨拶。 彼女の歩幅にあわせて歩いていると、少し向こうに同じような集団を見つけた。 「あ、あれ、多分3年だぞ。俺の先輩いるし」 何気なく言いうと「空くんの先輩?」と返事され、中学一緒だったと説明する。 「俺の先輩も同じクラスみたいだな……」 「陸くんの先輩も?」 「あぁ、俺もサッカー部に届けだしたわ」 そうそう部活がさかんだしね、この学校。 「っていうか、よく俺が空だってわかったね?」 びっくり。 まさか、俺たちの区別付くのかよ!? 2人顔を見合わせて、満面の笑み。 そして、 「とも、おいてくぞー」 彼女の名前を呼んだ。
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