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「空ー?ね、この漢字ってこれで合ってた?」 「んー?あれ?ここ線一本足りなくね?」 「やっぱりそうだよね。なんか眺めてるうちにゲシュタルト崩壊してきちゃって。ありがとう助かった」 ともは姫会議の書類に線を一本足して、教室を出て行く。 「げしゅたるとほうかいって、なに?」 「俺に聞くな、空」 「「・・・」」 ケータイ取り出して検索。 おー、なるほど。 ** 「えーっと、これとこれを足して2で割ってー・・・ここのと合わせてー・・・ふむ。ね、陸ー?これ、あってる?」 「んー?どれ?ふんふん、あぁ、大丈夫、あってる。って、とも。電卓使った方が正確じゃね?」 「ケータイで電卓探すより、陸に聞いた方が早い。じゃ、ちょっと行ってきます」 ひらひらと手を振って職員室に向かう。 ともは時々こうやって俺たちを頼ってくれる。 だけど、なぜか空と陸を使い分けるともに、俺たちだけじゃなく、ともの事をよく見てるアイツ等も首を傾げた。 「・・・俺に聞いてくれない」 ちょっと不貞腐れた蓮は置いといて、確かにクラス一番のともがこうやって頼ってくれるのは、なんかくすぐったいっつーか。 で、ある時俺たちは、ともが呼んだ方とは違う方が返事をするという、いつものスタイルで行ってみることにした。 「陸いるー?」 「うぃー」 「・・・空、陸呼んだんだけど」 「・・・チッ」 「?」 * 「空、ちょっとお願いしていい?」 「うぃー」 「陸、空にお願いしたいの」 「俺じゃダメなの?」 「空なの」 * 「空ー?」 「うぃー」 「・・・ちょっと、2人とも、いい加減にして」 やべっ 怒らせた。 珍しくともが眉間に眉を寄せつつ俺たちを見上げる。 めったにこんな表情はしないから、レアものなんだけど。 「なんなの?この間から。どうして呼んだ方来てくれないの」 「えー?だってさ、俺らどっちでも同じだろ?別に呼んだ方じゃなくたっていいじゃん」 なー?と2人顔を見合わせる。 ポケットに手を突っ込んで俯いたともを覗きこめば、きっと顔をあげた彼女はものすごい怒った顔をしていた。 あ、怒った顔も可愛いなって思ったけど、とりあえず俺たちは口をつぐんだ。
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