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「私、どっちも同じなんて思ってないわ」
ちょっとソコ座ってとイスに座らされ、俺たちを見据えるとも。
「空が必要な時には空、陸の時は陸って思って声かけてたのよ」
「んー、でもさー。俺ら呼ばれるその違いってーのがわからないわけよ」
「そうそう。今までさ、呼ばれてもどっちでもいい話しばっかだったし」
「部活だとそうはいかないけど、クラスの中だと大抵どっちでもいい話しなわけな?」
「そうなると、別に呼ばれた方じゃなくても良いってことになるわけでー」
俺たちの言い訳をますます眉間に眉を寄せて、目を細めたともがキュッと唇をかんだ。
「私はっ、空が漢字得意だし器用だからそういうことで呼んだし、陸は計算早いし几帳面だからそういうの頼んだし・・・」
言われて、驚いた。
確かにともの言った通りだった。
内面的な違いは、実はそういうところで。
そういうのって、ちゃんと俺たちを一人ずつ見てないとわからないことで。
俺たちも、もっとちゃんとともを見ないと駄目だなって感じたんだよな。
「「ごめん、とも」」
謝ったら、目の前の小さいのに凄い存在感を発揮して怒ってた彼女は、ふーっとため息を吐いた。
それから、くすくすと笑う吐息。
「ほんと、2人とも凄く似てるんだから」
中身は違うくせにねー!
首を傾げながら笑うともに、ホッと息を吐いて。
俺たちはイスから立ち上がり、両手を広げた。
「「よし、とも!飛び込んでこい!」」
「え、いやよ」
くすくすと逃げたともは自分の席に座って、アイツ等の甘やかしに苦笑を洩らした。
「お前ら双子でよかったな」
翔が腕を組んでこっちを見ていて、俺たちは首を傾げた。
「とも見て見ろ。いつも近くに居るアイツ等の細かい所はまだそんな把握してないだろ。お前らは双子だから、アイツなりに見わけようとしたわけだな」
深く頷きながらそう言った翔は口には出さなかったけど、結構うらやましそうな顔してた。
俺たちは顔を見合す。
あ、なに?お前も?
うん、ともにやられたろ、マジで。
アイツには適当なこと、しちゃいけないな。
だよな。
ともへの信頼度が増した俺たち。
ともを沢山笑顔にさせようと思った。
~fin~
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