灰色の月、花火の匂い

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「あら、普段からガンガンはいてれば、つつかないわよ。 めったに見れないおみ足だから、こうして堪能してるのよ」 松村さんの言動が、オヤジ化しているのは、気のせいではないはずだ。 これでは、飲み屋のセクハラオヤジではないか。 「ねえ、森君も、似合うと思うでしょ?」 「うん、すごく似合ってる。 …もしかして、今日は俺と祭に行くつもりで…」 「違います、直人君とです」 しまった! ばらしてしまった。 「あー、そういうこと」 にやりとする、森主任。 「え?直人君って、もしかして彼氏?」 一人、話の見えない松村さんが、きょろきょろする。 「うん、俺と二股かけてんですよ、史信ちゃん」 「…本命は直人君ですけどね」 ガクッと肩を落とす彼を見て、ひそかに勝った!と思ってしまった。
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