灰色の月、花火の匂い

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結局、直人君のことを説明させられた私。 「もてるわね、両角さん」 「年の差、21ですけどね」 「俺となら、2個違いだよ!」 「主任とは、色々違い過ぎますからね」 この人の軽さは、私の許容範囲外だ。 「と言うわけなので、服はこのままで十分ですよ」 「だめだめ、手を抜いちゃ。 どこに、ロマンスのかけらが転がってるか、わからないでしょ。 浴衣着なさい!」 松村さんは譲らない。 ロマンスのかけらって、そんなに簡単に拾えるのかな? 私は今まで取りこぼしてばかりだ。 「え、浴衣着るの? それは見たいなあ。 いつも、作業服の上下しか見てないから、今日はラッキー」 「そうよねー、倉庫課だけは女子も作業服だもんね。 おしゃれのしようがないわ」 「わかりましたから。 遅れるから、もう行きましょうよ、松村さん」
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