第1章

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家に戻る。 やけに静かだ。 帰った途端に心配した奏が飛び出してくると踏んでたんだけど。 嫌な予感がしてベッドルームを覗くと、まだ、彼は寝ていた。 熟睡だ。 あの朝のように。 呆れてしまう。 やれやれ。 こいつには危機管理能力がないのか? 仕方ない。 方針転換。 オレはぐっすりと眠っている奏の唇に、そっと唇を重ねた。 やわらかい感触に柄にもなくときめく。 急に、昨夜のことがよみがえる。 この唇が、オレの体中に触れたのだと思うと、羞恥でいたたまれなくなった。 キッチンに戻ろうとしたが、ニットの裾を引っ張られ、そのままベッドに座らされてしまう。 オレの腰に両腕が巻かれ、背中に奏の顔がすりつけられる。 「ラリー、ボンジュー」 喋る時のあたたかい息を背中で感じる。 ちょっと、これは、マズい・・・・ 恋人と迎える朝が、こんなに恥ずかしいとは思わなかった。 「ラリー?」 不審に思ったらしい奏が片腕はオレの腰に巻きつけたまま、器用に体を起こして座る。 彼の両足がオレの足の外側に並び、背中から抱きすくめられる。 右肩に彼の頭。 「うわ!ラリー、耳が真っ赤」 指摘するなよ!
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