第1章

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「熱でもある?」 本気で心配する声。 額に手のひら。 首筋に手の甲。 「えっ?すごく冷たいんだけど」 そりゃあ外出してたからね。 なんだか笑えてくる。 「熱なんかない」 彼の腕の中で笑う。 あたたかくて、気持ちいい。 オレは前を向いたまま、肩に載っている奏の頭に自分の頭を軽くぶつける。 「奏はおもしろい」 「は?」 オレは顔を無理やり横に向けて、ちょっと間抜けな表情をしている奏を見る。 彼の目が見開かれる。 おそらく、オレが変な表情をしているからだ。 顔もまだ赤いだろうし、恥ずかしさも消えてない。 「おもしろくて、かわいいよ」 それだけ言って、鼻の頭を噛む。 「痛っ!」 オレは奏の腕からすり抜けて立ち上がる。 「朝食作るの手伝えよ。オレ、ナイフ使いたくないから」 キッチンへ戻ってまもなく、大急ぎで服を着たらしい奏が追いかけてきた。 テーブルのバゲットを見つける。
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