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「ラリー、これ」
「さっき買ってきた」
「さっき?」
「さっき。お前を起こす前」
「ラリー・・・・」
奏はオレが出て行く前に起こさなかったことに、少しだけショックを受けている。
「驚かせてやろうと思って帰ったら、お前まだ寝てんの。ガッカリだよ」
オレは大仰に肩をすくめて笑う。
それから、傷ついている奏を見つめて言う。
「戻ってくるよ。奏のもとに必ず戻ってくる。もう二度と消えたりしない。これは、奏に信用してもらうしかない」
奏はしばらくオレの瞳を見つめ続ける。
ゆっくりと頷く。
「俺はあなたを信用しているよ。ただ・・・・・」
そこまで言って口ごもる。
わかるよ、信用してるけど、起こしてもらえなかったのが寂しかったんだよな。
オレは奏を抱きしめ、背中をポンポンと叩く。
「うん・・・・約束破ってごめんな」
「いや、そもそも俺がちゃんと起きれれば、こんなことには・・・・」
奏はため息をついて話しはじめる。
「以前はどこでも熟睡できて、目覚めもいいなんて、特技だと思ってたんだよ。あの朝以降は欠点にしか思えなくなった」
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