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僕の目の前には、腕を組みながら窓のサッシに寄りかかっている先輩がいる。眉間に皺を寄せ、相手を睨んでる。その先は、僕を無理矢理という形で連れてきた張本人にだ。なぜこういう状況になったのか、遡ること約三十分前になる。
僕は部活の勧誘を断り、ビラは受け取らず校門に向かっていた。あともう少しで校門を出るってとこで、廊下でぶつかった先輩らしき人を見つけた。お礼を言うのにちょうどいいと思い、駆け寄り声をかけた。
「あのとき助けてくださり、ありがとうございました」
いきなり声をかけられ驚いたのか一瞬目を見開いたが、すぐに表情が戻った。
「ああ、あのときの!わざわざ言いに来てくれたの?」
「はい!あのとき急いでて、ちゃんと言えなかったので…」
「あはは!別に気にしなくていいのに」
それから会話が弾み、まだ名前を訊いてなかったことに気づき、訊くことにしてみた。
「今さらであれなんですが、名前訊いてもいいですか?」
「そう言えば、言ってなかったな。新庄新、二年だよ」
「白石景です」
軽くお互いの自己紹介をして「やっぱり先輩だったか」と思ったのと同時に僕の予想が当たって、ホッとした。
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