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質問に賛同するかのように黒崎先輩も新庄先輩の方を見る。 「そりゃあ―」 その続きが気になる僕は、前のめり気味な体制になる。 「面白そうじゃん!こういう部って、なかなかないしさあ」 一度やってみたかったんだよねえ、と理由がなんともあっけらかんとしている。それを聞いていた黒崎先輩は、額に青筋を立てている。しかもヤクザ顔負けの表情付きだ。それにまったく気づかない新庄先輩も新庄先輩だが―。 「で、お前はこんなことのために俺を巻き込んだのか?」 黒崎先輩の声色を聞いた新庄先輩は、ロボットのごとく首をまわした。 「あっ、えっと…」 明らかにキレていて、言葉に詰まった。 「はっきり言えや。どうなんだよ」 「は、はい…そうです」 肯定した瞬間、今度は蹴りをお見舞いした。しかも蹴ったところがスネだ。それも思いっきり。 「いってえ!」 蹴られたスネを押さえ、のたうち回っている。余談だが、スネは別名―弁慶の泣きどころとも言う。その由来は、いくら弁慶でも蹴られれば痛くて泣いたと言われているからだ。このことを知っている人は多いはずだ。僕も小学生の頃におばあちゃんに教えてもらった。
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