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よく晴れた日のこと。
僕、白石景は窓の外を眺めていた。視線の先には満開の桜。いつかは散っていくのだろう、と思いながら目を閉じた。
ちょうど僕の席は窓側の一番後ろ。貼り紙には「どこでも好きなとこに座って良い」と貼ってあったので、誰も座っていなかった後ろの席にした。日差しが当たっており、ポカポカ陽気で絶好のお昼寝日和。いっその事寝てしまおうと机に伏せた。
「ちょっと!寝ないの!」
頭上から声がした。視線だけ声の方を辿ると望月芽依がいた。芽依とは中学の頃から三年間、一緒のクラスだった。隣同士だったこともあり、すぐ仲良くなった。何かの縁なのか同じ北條高校を受験し、ましてや同じクラス。
「ん?芽依か…」
「…はあ。『芽依か…』じゃないでしょ!あと少しなんだから我慢しなさいよ」
「分かったよ…」
渋々、顔を上げた。そのまま正面を向くと知らない先生に目がいく。
「あれ…誰?」
僕は寝ぼけながら訊いた。
「まったく…ちゃんと話訊かないんだから。速水涼太先生よ。これから一年、お世話になるんだから覚えときなさいよ」
そう言われ「ふうん」と応えた。隣から小さくため息を吐くのが聞こえた。
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