プロローグ

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順調に進んでいき、ぼんやりしていたら僕の番までまわってきていた。「次の人」と呼ばれ椅子を少し引き、ゆっくり立つ。 「白石景です。これと言った趣味はないですが、よろしくお願いします」 言い終わってすぐ座った。 あれから約五分、最後の人の自己紹介が終わった。明日のことと今日から部活見学があることを話し、速水先生は教室を出ていった。各々、友達になった子と「ねえ、どの部活に入る?」だの、「早く部活、見学しに行こうぜ!」だの、そんな言葉が飛び交っている。 外―校門からは、部活の勧誘やらビラ配りをしている部など様々だ。こういうときだけは活気に溢れてる。特に運動部なんかは「楽しく部活をしよう」等々、甘い言葉を囁く。だが、いざ入ってみると厳しくヘトヘトになる練習メニューをこなさなければならない。騙されたと愚痴を零す。 しかし僕には関係ない。どの部活にも入らないつもりだから。靴を履き替え、校門に向かう。勧誘は断り、ビラは受け取らなかった。校門まで、目と鼻の先だ。 このときの僕はこんなことになるとは思いもしなかった。
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