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やはり何度確認してみても、
腹どころか、体のどこにも傷はない。
……一体、どうなっているんだ?
酷く疲れていたし、
そのままベッドに潜り込んだ。
この家は妻も知らない、
いくつかある隠れ家の一つなので、
安心して眠れる。
翌朝。
少し迷ったが、結局会社に出てみた。
宮下は俺の顔を見て一瞬、
幽霊でも見たような顔をしたが、
すぐにいつもの鉄面皮で
今日のスケジュールの確認をしてきた。
「……なあ、宮下」
「なんでしょう」
「俺、昨日腹を刺されて
死んだはずなのに、
なんでか生きてるんだ。
どういうことだと思う?」
「夢でも
ご覧になったんじゃないですか?
寝ぼけていないで、
仕事をなされてください」
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