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「うーん。あの頃に比べたら随分変わったもんなぁ」
聖の住まいは相変わらず2階建てのボロアパート。
片手鍋以外何ひとつなかった台所は今やフライパンや調味料が綺麗に並べてあり、真壁仕様となっている。
もちろん、冷蔵庫にも常時色んな食べ物を用意しておりインスタントラーメンは姿を消している。
散らかり放題だった部屋も片付き、洗わないまま積み重なるだけだった洗濯物も洗濯を済まして綺麗にまとめてある。
この様子を見た神谷が一度「真壁は嫁か!」とキレた。
その時はなんとか宥めたのだが、神谷の言いたい事もわかるだけに真壁は軽く息を吐いた。
あまりの生活能力の無さに、つい、面倒を見すぎてしまうのだ。
「ああ見えて神谷は優しいからなー…」
慣れた手つきでフライパンを動かせば、チキンライスが宙を舞う。
今日の晩御飯はオムライスとサラダ、コンソメスープ。
ふわふわ卵のオムライスが聖の好物だと、ともに過ごしたこの数ヶ月で知った。
「悪かったな。神谷と違って優しくなくて」
「!?」
「おわ、危ね!」
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