1.Blue Monday.

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 沢山の声が飛び交う広い教室で、彼はひとり眉根を寄せて眼を固く閉ざしていた。 「聖(ひじり)」 「おわ、びっくりした」  二日酔いでずきずきと痛む額に、ひやりと冷たい物が触れた。  椅子にもたれ掛かっていた聖――志摩 聖(しま ひじり)は額に触れる物を確かめる為、ゆっくりと瞳を押し上げた。 「真壁(まかべ)じゃん。……何、コレ」 「昨日めちゃめちゃ飲んでたから。二日酔いじゃないかなって」 「わり、助かる」  額に当てられた、よく冷えたスポーツドリンクを目の前に立つ男から受け取る。  やっぱりね、とふわりと微笑む男は真壁 大和(まかべ やまと)。  180cmを越える長身に視力が悪いせいで鋭くなる目つき。  それゆえ、初めて彼を見る者は怯えて距離を取ってしまいがちだ。  だが、その外見にそぐわず実はゆったりとした性格なのだと、大学生活を共に3ヶ月程過ごしてきて知った。 「……彼女から、連絡あった?」 「あー……」  おずおずと聞いてきた真壁に悪気はないとわかっていながらも、【彼女】の単語に自然と眉間に皺が寄る。 「ない。てゆか、もう彼女じゃねぇし」 「そうなの?」 「おぉ、『アンタ以外にも男なんていくらでもいんのよ!』だと。イテテ」 「うわぁ……大丈夫? ご、ごめん」 「いや、あームカつく」  昨夜ヒステリックに叫んだ“元”彼女の真似をしたために、また痛みを訴えてきた頭に舌打ちをした。 .
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