1.Blue Monday.

3/28
前へ
/133ページ
次へ
 聖が本当は何に苛立っているのかなど聞くまでもなくわかるのに、わざわざ話題を掘り返してしまった自身を真壁は胸中で叱咤し、がくんと俯いてしまった。  突然俯いた真壁を聖は椅子に座ったまま覗き込む。  背も高いし、よくよく見れば精悍な顔つきをしているというのに……どうにも真壁は自信という物を母親の腹に置いてきたようだ。  申し訳なさを顔全体で表す真壁を見て、聖は吹き出した。 「お前、んな捨てられた子犬みてぇな顔すんなよ」 「だって、聖、」 「気にすんなって。今から夏だし、暑苦しい中あの女の面倒見なくてよくなったの、実は嬉しいし」 「あの女って聖……」 「いンだよ。しばらく彼女とかいらねぇもん、今年はお前らと遊び倒す」  くしゃっと全開の笑顔を見せ、聖は勢いよくスポーツドリンクを飲んだ。  飲み込むたびに喉仏が上下し、渇いていた唇が雫で濡れた。 「ひじ、」 「ぶはー、真壁、ありがとなコレ」  一気に飲み干し空になったペットボトルを振り、腕で唇を拭うと聖はのろりと腰を上げた。 .
/133ページ

最初のコメントを投稿しよう!

671人が本棚に入れています
本棚に追加