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トンネルの中は、少しひんやりとして、静まり返っている為、白猫の足音だけが
響いていました。
誰もいないトンネルの中で、白猫は、体を震わせていました。自分でも止める事
が出来ないでいました。
暗闇がもたらす、恐怖と必死に闘っている様に見えました。
「こ、怖くなんかないやい。ぼ、僕は怖くなんかないやい。」と恐怖を打ち消す
ように小さくつぶやいていました。
白猫の、声は、トンネルの中で、小さく響いていました。その響く声に白猫は、
またびくりとなりながら、前に歩いていきました。
そして、白猫の額に、ピチャッと冷たいものが落ちてきました。白猫は、たまら
ず、大きな声で、叫んでいました。
「ひえーえ。なんかひたいにあたったー。な、なんだあ~。水滴かあー。びっく
りしたなあ。心臓に悪いな本当に。」
白猫は、びっくりして、しりもちをついてしまいました。その時、白猫のお尻の
下から、小さな声がしました。
「いたーい。痛いです。早くどいてください。」
「ご、ごめん。大丈夫かい。」白猫は慌てて体を起こしました。
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